漢方×認知行動療法

認知行動療法とは,認知と行動を変えていくことでつらい感情を軽減する心理療法です。人には各々考え方のクセがあります。たとえば友達にメッセージを送ったのに返事が来ないとき,どう考えますか?Aさんは「何か嫌われるようなことをしたかな・・」と不安になります。Bさんは「すぐ返事をしないなんて失礼な人だ!」と怒ります。Cさんは「今忙しいのかな」とあまり気にしません。これが考え方のクセです。Cさんのように考えることができると不安や怒りに振り回されずにすみます。認知行動療法は「考え方を変えよう!」というものではなく,考え方の幅を柔軟に広げていこうという試みになります。

認知行動療法とは(厚生労働省e-ヘルスネット)

漢方薬で不安感や怒りを軽減できることも多いのですが,認知行動療法を組み合わせることでさらにつらさを軽減できるのではないかと考えています。

こんなかたに・・・

  • スムーズな対人関係をつくりたい
  • 不安や怒りにふりまわされず自分の人生に集中したい
  • ぐっすり眠りたい
  • 原因がわからない(ストレスのせいと言われた)胃痛や頭痛を緩和したい

セッションの枠組み

漢方薬の四診と認知行動療法を合わせて実施するために相談時間は90分枠で設定いたします。

体調確認・四診(10分~15分)→認知行動療法(30分~40分)→漢方薬調合(10分~15分)

 認知行動療法自体は15~20回(2週間か3週間に1回)のセッションが基本となりますが,体調や状態により回数は前後いたします。セッション終結後も漢方薬の調合は可能です。また途中で漢方薬をやめて認知行動療法だけ実施することも可能ですが,基本的に漢方薬と認知行動療法を組み合わせる形式で進めます。

初回は通常通り90分枠で漢方相談を行います。初回は漢方薬の「証」をたてるため通常の漢方相談を行います。その際に認知行動療法を希望される場合はお申し出ください。

認知行動療法を実施の際は,事前に同意書へのサインが必要になります。  

料金

漢方薬代(6,500円前後/2週間分)とは別に認知行動療法に対して各セッションごとに3,300円(税込)を頂戴いたします。初回相談は通常通り5,500円(税込)になります。

*料金は将来的に変更することがございます。

相談の流れ

Stage1 (1,2回目) 

ご相談したい内容(症状,経過,成育歴,対人関係など)についてお伺いし,何が引き金で気分がつらくなるのか,問題の構造を明らかにし,今後のカウンセリングの土台を作っていきます。認知行動療法の流れもご説明いたします。

Stage2 (3,4回目)

どういう状況で問題が出やすいか,考えかたのクセ(認知),そのときにどういう対応をしてしまうのか(行動)<こころの仕組み>を一緒に考え,図にまとめていきます。そして目標を決め,どんな方法で進めていくか話し合います。並行して気分がよくなる行動も少しずつ取り組んでいきます。

Stage3 (5,6回目)

とくに問題となっている「ホットな思考」に注目し,コラム法で気分や思考をとらえる習慣をつけていただきます。

Stage4 (7~12回目)

自動思考の偏りをいっしょに検証し,修正を図っていきます。また対人関係の問題についてはアサーショントレーニングなどで改善していきます。認知を行動の変容で,問題を解決していくStageになります。

Stage5 (13,14回目)

根底にある信念(スキーマ)に働きかけ,症状と再発リスクを軽減していきます。スキーマに取り組むことはかなり負担に感じることもあります。じっくり取り組む場合(スキーマ療法)は幼少期を振り返るなど面接回数が増えます。どのように進めていくかは,そのときに話し合います。

Stage6 (15,16回目)

終結に向けて,カウンセリング全体を振り返り,身に付けていただいたスキルや変化について話し合います。再発を予防したり,再発してもスキルを役立てられるようにします。

<参考> 福井至・貝谷久宣(2022). こころに寄り添う 支援のための認知行動療法. 株式会社ナツメ社

現在心療内科や精神科にかかっておられるかた

現在治療中または投薬中のかたにつきましては,心理療法のみを実施している奈良三条こころの相談室でご相談をお受けいたします。主治医と連携して認知行動療法を実施いたします。