うつの中医学的考え方①

2023年02月22日

うつは中医学では鬱証といいます。情志不調や気の鬱滞による病証です。

虚実に分かれ、うつになり始めは実証が多く理気が治療原則になりますが、徐々に心気や血を消耗し、心神不安や臓腑陰陽の失調を起こすようになり虚証になっていきます。虚証になれば、補気、補血や滋陰する必要があります。

実証のうつをご紹介します。原因はもちろんストレスです。ストレスそのものが問題ではなくて、ストレスにともなう怒り、考えすぎ(思い悩む)、悲しみ、憂慮といった感情の失調が原因です。これらの感情の乱れが肝気鬱(肝の気の滞り)を引き起こすと考えられています。つまり、ストレスがあっても感情を平穏に保っておけば肝気鬱にはならないとも言えます。

ところで肝気鬱結は脹、痛、悶の症状が特徴です。脹:脇痛、肩こり、首こり、背中のはりやこり、腹脹など痛:頭痛、生理痛、腰痛、関節痛など悶:胸悶、精神不振(悶々、鬱々)、飲食がのどを通らない、呼吸が浅くなる、飲食しても消化しにくいなど初期の段階ですぐに疎肝理気できればいいのですが、それができないと、肝気鬱滞が肝火となり、さらに気滞が瘀血を起こします。また脾に影響し、あるいは考え過ぎ、憂慮、疲労により脾を傷めてしまえば、食滞や痰湿が発生し、さらに気の巡りにくい身体になっていきます。